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いつでもどこでも映画と読書、あとなんだろう
by ののちゃん
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 いままででの人生で、一番通った店は居酒屋だと思う。たぶん、これは間違えないと思う。それが今や、1ヶ月に10日の飲酒。辛いよ~。休肝日の過ごし方ってむつかしい。 それで学生時分に戻って、いつでもどこでも映画と読書に明け暮れようと思う。大好きな川上弘美さんは、読書三昧の毎日を、なんだか彩りに欠ける人生ではありますと謙遜して書いていた。 う~む、ボクの方は、こりゃ実感だなぁ。
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ワイルダーについて思うこと

 才匠ビリー・ワイルダーの”深夜の告白”を観た。
ワイルダーはヒッチ師匠と並んで大のゴヒイキである。監督だけではなく、製作も脚本も書く名実ともに映画作家である。もっとも敬愛するお方だ。いくつか考えるところがあって、それを書く。

 ビリー・ワイルダーには大きく二つの作風がある。
1.急進的風刺作家:”サンセット大通り”や”地獄の英雄”など
2.都会派コメディー作家:”あなただけ今晩は”や”お熱いのがお好き”など
3.どちらともいえない:”情婦”や”翼よ!あれが巴里の灯だ”

 ここで論じたいのは1と2だ。個人的には2.が好きだった。過去形だ。都会派コメディーは洒落ていて、お色気もあって、スマートで、ユーモア会話満載で、ルビッチを継承した艶笑話芸が楽しい。映画の醍醐味はここにきわまる、と思った。

 1.には、名作が多い。タッチは、徹底的に冷酷な救いのないものだ。刺すような視線の映画である。オーストリア出身のユダヤ系監督の孤独な視線を感じた。凄みがある傑作ぞろいだが、2.の都会派コメディーの洗練の方が好きだった。

 優れたワイルダー論として、中原弓彦の”狼が子守唄を唄うとき”を挙げとく。これは思うに、中原弓彦の評論の極点だ。そこではアメリカ文明への毒と牙を持った作家像が描かれた。だから、狼なのである。そして狼は時に、コメディーという名を借りて、悪意に満ちた子守唄を唄う。その作品群が2.であるとした。誤解のないように補足するが、中原弓彦は、”その牙が鋭いから、ワイルダーは偉い”と褒めているのである。

 先日、ワイルダーの遺作”悲愁”を観た。じつはこれ、老後の楽しみとして残しておいたが、ついつい観てしまった。”悲愁”は”サンセット大通り”と同じシチュエーションだが、たしかに残酷な牙や毒とみることもできようが、本質はハリウッドへのレクイエムだと思った。I・A・L・ダイアモンドとチャールズ・ブラケットの違いはあるが、”サンセット大通り”の酷薄にみえるエンディングも同じではないか?。シュトロハイムが”スタート!”と声をかけたのは、サイレント映画の夢の終わりを告げただけではない。オマージュでもあったと思う。そう考えたときから、私は変わった。

 私はワイルダーに、冷徹な視線ばかりを観なくなった。”サンセット大通り”は映画人の悲劇や宿命を象徴的に描いたものだ。だからオマージュでもあった。今現在、中原弓彦説には否定的である。

 ”深夜の告白”は、ジェームズ・M・ケインの”殺人保険”(新潮文庫)が原作である。”倍額保険”といった方が通りがよいと思うが、悪女モノの傑作中篇である。
脚本はワイルダーとレイモンド・チャンドラーが書いている。

 映画のつくりは原作にそったものだが、倒叙ミステリ(inverted mystery)にしたことと、結末が違っている。結末の違いは当時の映画事情によるそうだ。ネタバレになるので書かない。
クライマックスは犯行のシークェンスでサスペンス醸成は巧みで、ショッカーのようでもある。
後年の”パパ大好き”のフレッド・マクマレーと”私は殺される”のバーバラ・スタンウィックが演じていると思うと、ヘンな気分だが、あくまでこの映画が先行であり、関係ないことだ。

 男と女の関係が、当時からすれば、かなり陰湿な感じで描かれている。
脱線だが、ローレンス・カスダンの”白いドレスの女”にはこの映画の影響が大きい。まあ、暑苦しく、ねっとりした濃厚さでは、あちらが上ですが・・・。”夜の大捜査線”のような異常な熱気を帯びた男と女の絡みだから、猛暑日だとつらいと思う。

 チャンドラーが絡んだから、フレッド・マクマレーのセリフが少し、キザかな。マクマレーの独白がエンエンと続く。例によって、小道具のマッチが効いている。ラストは上質な小説のしまいの一行のようである。

この映画は文句なしの傑作である。

 昔、Raymond Chandler Speakingの訳本を買ったけど、どこかへ行ってしまった。
J・M・ケインの小説やヒッチ師匠の悪口を読んだような記憶がある。

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by nonoyamasadao | 2007-08-17 14:08 | ヒッチ・ワイルダー | Comments(0)
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