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いつでもどこでも映画と読書、あとなんだろう
by ののちゃん
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 いままででの人生で、一番通った店は居酒屋だと思う。たぶん、これは間違えないと思う。それが今や、1ヶ月に10日の飲酒。辛いよ~。休肝日の過ごし方ってむつかしい。 それで学生時分に戻って、いつでもどこでも映画と読書に明け暮れようと思う。大好きな川上弘美さんは、読書三昧の毎日を、なんだか彩りに欠ける人生ではありますと謙遜して書いていた。 う~む、ボクの方は、こりゃ実感だなぁ。
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蔵原惟繕作品“ある脅迫”

 蔵原惟繕には、“愛と死の記録”(8/16)や“秋だから映画の話をしましょう”(11/15)で少し触れた。繰り返しになるが、蔵原惟繕は日本の最良の映像作家の一人だと、確信している。蔵原はインドネシアのボルネオ生まれだった。デビュ-作“俺は待ってるぜ”から、“外国願望”や“日本脱出”が首尾一貫していた。

 “メキシコ無宿”や“憎いあンちくしょう”も、そして後年の数々の“大作だが、箸にも棒にもかからぬ駄作”でも変わない。たとえば大作だが凡作の典型例のバタ臭い映像だけが光る“栄光への5000キロ”がそうだ。“雨のアムステルダム”から始まり、やがてはダカール・ラリーのサハラ砂漠、果ては南極大陸まで行った。

 彼の脱出の願望が、タイトルバックのモダニズム、モダンジャズのセンス、インプロビゼーションなどの、外国映画タッチの映像と深いところで切り結ばれているのは間違いないだろう。

 “ある脅迫”は“硝子のジョニー 野獣のように見えて”と並ぶ蔵原(33歳)の埋もれた傑作である。この作品を序章として、この後の5-6年が作家性を追及した時代のピ-クであった。“ある脅迫”は玄人好みのミステリ作家だった多岐川恭の原作である。

 映画のつくりは正統的なサスペンスであり、フランスのフィルム・ノワールの味わいが濃密である。ジャン・ピエール・メルヴィルに似ているとの批評があるが、それはお門違いだ。テイストが全く違う。それなら、森一生の“ある殺し屋”だろう。“サムライ”の影響は否定はできない。まあ、パクリだが、森一生の技巧の方が達者だった。

 “ある脅迫”は添え物映画(65分)だが、蔵原監督の才気がきらきら輝いている。添え物映画はローコストゆえ、プロデュ-サ-諸氏も鷹揚に構えていたふしがある。回顧すれば、映画全盛時代の最後の残光が降り注いでいた頃だ。

 実力派の金子信雄と西村晃の演技の捻りあいが見事だった。お互いの確執がエンエンと繰り広げられる長いシークエンスが続くが、絶妙なカット割りだった。短いカットバックを幾重にも積み重ね、その表情がパッパッと切り返しで映し出された。スカッとした画面構成と切り返しの妙にはタメ息が出た。なんて上手なんだろう。ネタばれになるので詳細は控えるが、ある伏線が演技と重層し、演技が伏線になり、ミスディレクションにもなる途轍もない工夫が映画全体に仕掛けられていた。ラスト数十秒で信じられないサプライズ・エンディングとなる。、ワクワク、ゾクゾクする興奮があった。
傑作である。

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by nonoyamasadao | 2008-01-27 21:05 | ミステリ映画 | Comments(0)
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